任意整理を語ろう
ファミリー・オフィスが継承の主流に41人の資産家のうち、ほとんどはその資産額は個人だけではなく、家族、親兄弟などの資産を含めた「一族の資産」である。
これをどのように個人別に、あるいは「ファミリー・カンパニー」で、まとめて管理運用し、残していくのか興味のあるところであるが、一族のリーダーであるこれらの社長や会長の人生観や、家族の構成によって運営方向が異なってくる、「事業は残さねばならない」、「名前も残したい」、「資産も子孫に残したい」、「だが税金は払いたくない」……、億万長者の悩みはつきない。
億万長者の1人、日本マクドナルドの藤田社長はファミリー・カンパニーの資産管理会社「藤田商店」に「フジタ未来経営研究所」というシンクタンクを設立させた。
将来について学術的な研究をするというが、日本の億万長者がその資産をどう活かすべきか「生き様」の研究など、提言したらきっと役立つと思う。
億万長者の資産はこれからも増え続けるであろうし、新しい資産家は続々と生まれている。
とにかく、日本では毎年何十兆円の金融資産が増えている、と言われるのだ。
財が増えれば、悩みも増える。
税制や社会的環境、それに資産継承と管理のむずかしさ、煩わしさを考えれば、いずれアメリカのような、あるいは戦前の日本の財閥のような「ファミリー・オフィス」を設立し、資産の継承に利用するのが主流になるだろう。
人間いつまでも生きているわけではない。
しかし、最高70%の相続税を「国のため」と割り切れる金持ちは少ない。
ある中企業の社長にプライベートバンキングについて聞いてみた。
以下は彼の反応である。
ある日、取引銀行の担当者が25〜30歳くらいの女性行員をつれて来て「この女性を社長の個人資産の運用管理のアシスタントに使って下さい。
手足になってなんでもやりますので」と紹介した。
一瞬、何事かと思ったが「当方はそんな資産はありません」と丁重にお断りした。
一体、銀行は何を考えているのだろうか。
若い女性がどんな優秀でも、まあ、普通の資産運用ぐらいだったら世智に長けた自分の方が良く知っている。
30年も銀行や証券会社とつきあっているのだ。
若い女性は結婚で辞めるかも知れない。
分からないことは帰って銀行の上司や専門家に相談するだろう。
自分の財産のことを銀行内部でとやかく話題にされるのも愉快な話じゃない。
これが40歳くらいのベテランだったら話は別だ。
一応話ぐらいは聞いたかも知れない。
銀行も変わった。
バブルの頃は“借りろ、借りろ”とうるさかった。
貸すのがノルマみたいだった。
バブルがはじけると、今度は資産圧縮とかで貸金引き揚げだ。
そのうちに証券子会社をつくったから、信託銀行をつくったからと新商品を付き合え、と言ってくる。
まったく自分の都合ばかりだ。
最近は外貨預金をどうかとすすめてくる。
ちょっと遅いなあ、という感じだ。
黙っていたけれど、家内が1年も前にシティバンクで外貨預金をしている。
海外旅行に便利だからと言っていた。
証券会社もよく来る。
たいていは公開を勧めにやってくるのだが「いまはその気がない」というと、あの株がいいとか、新しい投信はどうかとか、税金対策には無記名ものがいいとか、いろいろ売り込みにかかる。
最近流行のデリパティブなどすすめられでも、正直こっちには分からない。
“君子危きに近寄らず”でいまのところ複雑なものには手を出していない。
時代遅れかなあ。
投資顧問を紹介する、とも言ってきた。
でも、どうも証券会社に対しては結構構えてしまう。
セールスが上手だから、すぐに売り込まれてしまう。
いまの財産(約30億円)くらいならなんとか自分で管理できるよ。
出入りの銀行担当者がプライベートバンキングというのか、最近「財務コンサルタント」というベテランを連れて来た。
まだその気はない、と言っておいたが、確かにいつまでも社長をしているわけにはいかないし、相続のことも考えておかねばならないと思う。
この社長は「守秘義務云々というが、日本の銀行は信用できないところがある」という。
彼は数年前に父を亡くし、相続税をたっぷりとられた。
後でト分かつたことだが、税務署への情報源は親父が取引していた銀行だ、った。
銀行の秘密保持などまったく当てにならない、という。
彼は芦屋に住んでいる、ここには確かに大金持ちがたくさん住んでいる。
銀行や証券会社と取引していない人はいないだろう。
人数的には納税額1000万そこそこの層が多いが、上の方は1億円2億円の人もいる。
プライベートバンキングの対象は少なくとも納税額1000万のレベルから上の層で、金融資産が最低5億円以上の人だろう」とも言った。
もう一人の資産家は資産1000億円以上の“大金持ち”には名は連ねてはいないが、その次の次くらいに位置する資産を持つ。
やはり金持ちだ。
“銀のスプーン”組である。
彼の意見は以下の通りだ、った。
日本にはスイスや英国流のプライベートバンキングは育たないという気がする。
歴史的に日本人は「人に財産の運用をすべて委ねる」という気にはなれないのではないか。
日本人は、好奇心が強く、なんでも自分でやりたがる。
また、教育レベルが高いのでトむず、かしい投資や法律のことでもある程度はこなせるだけの知識はある。
サービスにカネを払うという気持ちも最近でこそ出てきたようだが、金持ちほどサービスに代価を払うことに“ケチ”をする傾向がある。
日本では、自分の財産を運用するに当たっては不動産と株式を中心とした有価証券が柱である。
これに預貯金が加わって「財産の三分法」などと財産管理の極意みたいに言われていた。
これはいまでも変わらない。
ところで、土地と株式は戦後若干の波はあっても、一貫して“右肩上り”であった。
ただ、持ってさえいれば良かった。
売買しなければ、アドバイザーもコンサルタントも不要だ。
株や債券を買う時には証券会社を呼べばいいし、別荘でも買う時は信託銀行の不動産部へでも行けばすむ。
預金である程度長短考えて、定期や貸付信託を組み込んでおけばよい。
ファイナンシャルプランナーやアドバイザーなど使わなくてもすんだのである。
しかし、これからはそうはいかないだろう。
株も不動産も右肩上りではなくなった。
株の利回りは当てにならないし、不動産も下がることもある。
相場ものは常時ウォッチしていなければならない。
アドバイスをくれる人が必要かも知れない。
しかし、その場合でも株は証券会社に、信託は信託銀行に、預金は銀行にという具合に、それぞれの専門家に相談すれば終わってしまう。
コンサルタントが入る余地はない。
とても「総合的個人財産の運用管理サービス」を受けるまではいかない。
手数料に見合うだけのサービスが受けられるのかね。
手数料を払っても助けてもらいたいのは、税と相続の問題だ。
所得税そのものは欧州諸国とたいして変わらない。
デンマーク、オランダなどは最高税率は60%を越える。
イギリスは40%だが、ドイツ、フランスは55%前後で日本とそう大きく変わるわけではない。
しかし、相続税は日本が70%と高く、しかも簡単には逃れられない。
本当に節税しようと思ったら海外のタックスへイプンとか、税制の違いを利用するより他に手はない。
結局、外国のプライベートパンカーを使うことになる。
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